53人の子供を設けた徳川家斉は、健康オタクだった

人生100年時代
Japanese hina dolls with gold folding screens and paper lanterns

大奥は「禁断」の場所であり、信じられないようないろいろな面白い話がある。

以下に紹介します

第41回 大奥を完成させた歴代将軍の事情

1)11代将軍の徳川家斉の子つくりと健康志向

御台所(正妻)を含めて17人の女性との間に、55歳まで53人の子どもを設けている。

さすがにこれは歴代将軍の中でも断トツの多さである。実は大奥ができた当時の2代将軍徳川秀忠は、御台所に気をつかって公には側室を持たなかったといわれている。

家斉は実際、たくさんの女性に囲まれ、20人以上の側室がおり、側室として名も残らない”お手付き”の女性を含めると、その数は40人以上にも上ったようだ。

だが、それだけではない。乳幼児の死亡率が高く、将軍家存続のため、たくさんの子供を産む必要があった。彼女たちが産んだのは、男子26人・女子27人の合計53人の子どもたちでその中でも成人したのは約半分の28人であった。子づくりは将軍の重要な責務だった。毎日の政治に加え、性事まで気を抜けない将軍の苦労が思いやられる。

家斉は健康維持のため、地道な努力もしていたようだ。

家斉は、10代将軍・徳川家治の養子である。家治の世嗣だった徳川家基がわずか16才で急死してしまい、他に適した男児が家治の周囲にはいなかった。

家斉には17才から55才までの間、ほぼ毎年コンスタントに子どもが生まれている。青年期はともかく、平均寿命が30~40才前後だったとされる江戸時代において、55才まで子づくりをする精力は群を抜いている。

家斉の、将軍にもかかわらず、精力アップの努力をしているのが偉い。家斉が命じた『白牛酪考』という書物に書かれている。

1.早起き

早寝早起きは健康の基本。家斉は鶏の鳴き声とともに起床するほどの早起きだった。

2.運動

早起きの後は広大な庭園をウォーキング。健康には、こういった日頃の努力の積み重ねが欠かせない。他にも鷹狩など激しめの運動もこなし、体力や筋力も蓄えていた。

3.薄着

真冬を薄着で過ごし、部屋にあった炬燵にも入らなかったらしい。

4.食事

健康のために「白牛酪(はくぎゅうらく)」という、牛乳と砂糖でできたチーズのようなものを食べていたそうだ。平安時代の食べ物「蘇(そ)」と同じように、牛乳と砂糖を煮詰めて塊状にしてある。

5.サプリメント

「オットセイの陰茎の粉末」を飲んでいたとも言われている。

2)3代将軍徳川家光の男色

結論から言うと、家光の男色が大奥を完成させた。

家光は男色の性癖があったらしい。小姓として仕えた人物に寵愛する者が3人いたという。もっともこの時代、武士の男色は珍しいものではない。

御台所とは不仲で寵愛(ちょうあい)する者が男では、子はできない。乳母の立場にあるお福(後述)は家光に美女を斡旋しはじめる。「胤(たね)」を存続させるための必死の工作だった。
お振、お楽、お玉という名の美女を連れてきては、奥入りさせた。最初に懐妊したのはお振だったが、生まれた子は女児だった。だが、家光はすっかり女性に“目覚めた”のか、さらにお夏、お里佐といった女中たちに、自ら手を付けていく。

ちなみに家光は女嫌いというわけでもなかったようで、その後側室は8人おりやがて側室が次々と男児を産む。2人は夭折したが、後の4代将軍・家綱、甲府藩主・綱重、5代将軍・綱吉となる。さらに綱重の子どもである家宣が6代将軍になっている。

このように、お福の戦略の下、将軍の「胤」を存続させる大奥という“機能”が完成する。

3)第6代将軍・徳川家宣の「船遊び」

美女100人と舟遊びに興じる将軍

第6代将軍・徳川家宣が生涯を通じて愛好した趣味は、「船遊び」だった。

幕府が所有する軍船で東京湾を周遊したり、時には江戸城吹上御殿の庭園にある池に小舟を浮かべて園遊会を催したりするなど、多くの船に関する記録が残されている。彼の船遊びに欠かせない存在だったのが、将軍の正妻である御台所をはじめとする、その数百人以上といわれる美しい女性だった。彼女たちは、江戸城「大奥」に所属する将軍寵愛の者たちだ。

大奥は、一朝一夕にできたわけではなく、以上のような将軍の性癖のため完成されていった。

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