地球上で最もきれいな日本の町

人生100年時代

第39回   きれいな日本の町      日本の掃除文化

学校で子どもが当番制で掃除を行う。神社に入る前には必ず手を洗う。トイレの掃除をすると、運が舞い込むと信じられている。「掃除」や「清める」という行為は、日本特有の歴史や宗教、美意識が密に関わった独特の文化だ。

現在の日本の町は、塵ひとつ落ちてなく大変きれいで日本人にとってはこれが当たり前なのだが、世界の人からみると驚くべきことの様である。自分の家も、公共施設も同様である。

外国に旅行すると、町が汚れていて汚いなあ、掃除したらいいのにと思うことが多いのではないだろうか。逆に日本人は、朝早くから、自分の家の周りを掃除している人に出会う。

日本には、昔から掃除文化が根付いており、掃除が生活の一部になっている。

最近では、サッカーや野球の試合後の清掃が世界の人から称賛を浴びており話題に上っている。これらの行為が徐々に世界に広まっているようでうれしい限りである。なお、この試合後の清掃は高校野球で、ある高校が始めたのがルーツであると言われている。

いつから、またなぜ掃除をする習慣が身についてきたのか

(1)日本人のきれい好きの習慣の原因

1)梅雨と水稲

*毎年じめじめした梅雨の季節があることため湿気が多いと、カビや病原菌が増えてしまう。だから、せっせと拭き掃除をしたり、手を洗ったりする

*水が豊富なため水稲の栽培を始め、田んぼをきれいにしておくことが一因になっている

2)穢れを払う習慣

*環境から心にも穢れを祓う習慣ができた(新谷尚紀氏より)

3)ごみ捨て場

生活の場とごみを捨てる場所を明確に分け、身の回りをきれいにした(縄文時代)

4)靴を脱いで家に入る習慣

日本人が家の中で靴を脱ぐ習慣は、弥生時代に始まったと言われている。最大の理由は、高温多湿の気候において家の中や自身の足を清潔に保つための知恵だった。

5)死者の霊対策

死者の霊が再び戻ってこないために清める意味で、掃除の習慣が始まる(飛鳥時代)遣唐使によって日本にもたらされた仏教思想から、貴族の間に「掃除」をするという考えが広まっていった。                         

6)神事                                              神事の儀式に柄の短いほうき「箒(ははき)」や出産にまつわる神が宿る箒神(ははきがみ)が使われた(奈良時代)、疫病の流行なども「穢れ」と捉え、清掃は穢れをはらう神事といった面が強かった(平安時代)

7)修行

掃除は修行、そして雑巾がけが始まった。

中国から伝わってきた禅宗の教えは『一掃除 二座禅 三看経(かんきん)』と言われ、修行においてなによりも大事なのは掃除とされた。(鎌倉時代から室町時代)

8)衛生意識の向上

ゴミの収集・運搬・処理、糞尿を集め肥料にするなどの、現代のエコやリサイクルにも似たシステムが早くから出来上がり、清潔を維持することが一般庶民に根付いていきました。武士や商人、農民、職人など、どの身分の人暮らしのなかにも「掃除」が組み込まれ、多くの家庭にほうきやハタキ、ちりとりといった掃除道具があった(江戸時代)

9)公衆衛生意識(伝染病対策)

鎖国をとき海外と交易をするにつれ、コレラなどの新たな疫病の被害に何度も襲われ、いちはやく取りかからなければならなかった(明治・大正時代)

(2)掃除の哲学的意味

ビルギット・ゼヴェリン(オランダ)とギヨーム・ノイリナウド(フランス)が日本の掃除文化全般に関する研究を行っていて、次のように興味深く述べている

掃除という行為は人間の生活にとって非常に重要な意味を持つ。             

日本の掃除の歴史を辿っていくと、仏教、神道などの宗教にルーツがあり「神道は『清め』に密接に関わっています。神社に入る前に手を洗ったり、お清めの一環として火を焚いたりしますよね。仏教では、掃除は一種の瞑想としても説かれています。宗派を超えた共通の美意識があり、それが現代の日本人の生活のなかにもある程度染み込んでいる。            

「掃除」は、衛生感覚や、片付け・整理整頓、清めの概念などと深く関わっている。寺院では「体を洗い清める」という大切な業の一つとして、浴堂が備えられるようになり、ここからお風呂に入るという習慣が始まったとされていて、江戸時代には公衆浴場の銭湯ができ、一般人も頻繁に身体を洗うようになった。現代でも日本人はほぼ毎日お風呂に入るとされており、これは世界的にみても珍しい。

④トイレ掃除に意味がある。娘が健やかに育つように、豊作を祈るためがある。『トイレの神様』がヒットしたのも面白い兆候ですよね」

日本の「掃除」は共同体のなかでの社会的行為である

子ども達が学校で掃除をする、この掃除という行為を通して、ルールにしたがったり、管理能力をつけたり、共同体のなかで他者と一緒に生きることを学び、さらに自分の周りにあるものへ感謝をし、大切にものを扱う、という精神も学ぶ

町内会での街の掃除や、企業内の掃除文化も組織やコミュニティ内で分担して掃除を行うことで、共同体のなかで「共に生きる」ための習慣を人々は営んでいる              

日本のトイレは、掃除がしやすいように意図的にデザインされている。古来より、トイレは綺麗で心が落ち着くリラクゼーションの場であるべきと考えられている。

以上から、世界から見て日本は特異な国なのだが、その文化が世界に広まって徐々に平和につながっていけばこんなにいいことはない。

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