「混浴」は好奇心からだけではない

人生100年時代

第23回は、世界の風呂と比較しつつ日本の風呂について述べました。

第24回は、日本独特の風習である混浴について記します。

これは、必ずしも好奇心から、そうなったのではなく、光熱費節約の意味があったようです。

第24回  日本人の風呂好き-2   混浴文化にもマナーがあった 

1)混浴の歴史

江戸時代は、性のおおらかさが有名であるが、混浴は風呂が経費が掛かるため、男女で利用していたというのが実態の様である。

①1000年以上前から、日本では老若男女が混浴していた

『風土記』713年に川辺に湯がわいて老若男女の入浴者でにぎわったと書かれています。

②江戸時代に禁止(松平定信:寛政の改革)になったが、実質的には継続されていた。
なお、素っ裸で入浴したのは、江戸の後期であり昔は、男は風呂褌、女は湯文字という専用の服装で入浴していた。

2)江戸時代の風呂の特徴

1591年に伊勢与市によって江戸に初めての銭湯が置かれて以来、急速に江戸市民の生活に溶け込んでいった。水が貴重だったことや薪代が高かったことに加え、火事の心配もあり、たとえ羽振りのいい商人でも自宅に風呂を持てなかった。

江戸時代に入ると、銭湯が大衆化した。享和三年(1803)には江戸市中に499軒、文化五年(1808)には523軒、さらに文化十一年(1814)には600軒あったそうです。

町が砂っぽかったので,1日に朝晩、2回入ることも多かった。初めは心身的な理由で入浴することが多かった人々の間でも、次第におしゃれや娯楽、社会的コミュニケーションの場として銭湯に行く者も増加するようになった。

湯に浸るのは腰から下だけで上半身は蒸し風呂というスタイル(戸棚風呂という)が主流。慶長年間の末期(1615年頃)から現在のように、肩まで湯に浸るようになったという。

<混浴>

①江戸時代は、お湯または蒸気が経費が掛かるため仕方なく実施していたようである。昭和20年の終戦後の混浴も同様な理由による。

②脱衣所から洗い場へそこは仕切りがなく、洗い場をそのまま通過して柘榴(ザクロ)口という仕切りを潜って浴槽へ入る。柘榴口は、湯を冷まさないため湯気が逃げないようにする構造になっており、そのため浴室内はかなり薄暗かった。

③老中松平定信の寛政の改革(1787年~1793年)後は男女別湯になったにもかかわらず、浴槽だけが男女別で、 脱衣所、洗い場は男女の境がなくほとんど混浴同然だったようです。

④二階の休憩所ののぞき穴

入浴の後、余裕のある男は二階の休憩所で金を払って寛ぐが。 男専用で情報交換の場として集まったそうです。覗き穴があって、一階の女を覗いていたとの報告がある。

湯女、三助

銭湯に垢すりや髪すきのサービスを湯女(ゆな)にしてもらう湯女風呂などが増加した。これは、後々性的なサービスを行うようになり、現代のソープランドの原型と言われる。

また、三助(銭湯の番頭)がふんどし姿や半股引で客の背中を流したり、髪の毛を洗ったりと、さまざまなサービスをおこなった。

④礼儀

うす暗いため、浴室に入るときや出るときにはトラブル防止のために、「冷者でござ~い」、「田舎者でござ~い」などの掛け声があったそうです。周囲への配慮が非常に重要視されてマナーも保たれていて日本的な素晴らしさがでている。

⑤その他

*営業時間:午前八時から午後八時迄

*入浴料:男120円、子供60円で羽書(回数券)もあった。 

江戸後期、日本史上初めて混浴が禁止された。しかし禁令は形だけとなって男女混浴の文化が続きます。

3)明治以降の混浴禁止令

①1890年(明治23年)に「7歳以上の混浴は禁止する」と法律が出る。

②明治・大正と公衆浴場の建て替えや新規開業のたびに少しずつ混浴が姿を消していく。

③1945年(昭和20年)の敗戦の段階で、男女の浴室を別々にする余裕も銭湯の側になくなりて男女混浴も目立っていた。

④1948年(昭和23年)にはGHQの指導の下で風紀を含めた公衆浴場法が制定される。

⑤1964年(昭和39年)に10歳以上の混浴を禁止令が通知された。

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