後の咸臨丸となった軍艦を率いて来日したオランダの海軍軍人カッテンディーケは日本人の優れた品性を賞賛(江戸末期)

人生100年時代

日本人のすばらしさの続きとして、後に咸臨丸となった軍艦を率いて来日したオランダ海軍軍人の日本および日本人評をご紹介します

16回 カッテンディーケ

(出典:『長崎海軍伝 習所の日々』水田信利 訳(東洋文庫26・平凡社)

カッテンディーケはオランダの海軍軍人で、徳川幕府が 発注した軍艦ヤーパン号(後の咸臨丸)を長崎に回航し、1857年(安政4年)に来日した。そして、幕府が開いた長崎海軍伝習所の第2次教官となり、勝海舟などの幕臣に精力的に航海術・砲術・測量法などの近代海軍の教育を精力的に行った。前任者の「狭く、深く」追求するタイプと異なりカッテンディーケは「広く、浅く」のタイプで、できるだけ伝習生には多くの知識を教授するよう努めたといわれている

1)カッテンディーケの初めて長崎港に入港した印象

長崎港の地形と美しい当時の景観が脳裏に浮かび上がってくるような次のような描写をしていおり、最大限の賛辞を送っている。現在の変わらぬ美しい姿をみせる長崎港は昔も同じと変わらぬ美しい姿をしていたようである

①絵を見るような光景が展開した

②伊王島あたりから、奥へ大きく盥(たらい)形をなし周囲は急峻な山々に囲まれ、麓から頂上まで人家や寺院や砲台が並び、樹林や段々畑に囲まれていた

③実際長崎港に入港する際、眼前に展開する景色ほど美しいものは、またとこの世界にあるまいと断言しても、あながち過褒(かほう)ではあるまい

④こんな美しい国で一生を終わりたいと何遍思ったことか

⑤これらの地に住む人々こそ、地球上最大の幸福者であるとさえ思われた

2)カッテンディーケらが来日した当時のオランダ人の状況

①すでに出島在住のオランダ人は自由に市中を散策できる許可を得ていた。

②来日当初、諏訪神社や桜馬場周辺を散策していたが、さらには遠出をするようになり、時には稲佐(出島の対岸)にも狩猟を楽しんだりした。やがて馬で遠出できるようになると、浦上、金比羅山などの郊外に足を伸ばしている。

<日本人評―概要>

①他の東洋諸民族と 異なり日本人は贅沢しない

*日本人の欲望は単純で、贅沢といえば着物に金をかけるくらいである。上流家庭の食事とても、至って簡素であるから、貧乏人だとて富貴の人びととさほど違った食事をしているわけではない。*非常に高貴な人びとの館ですら、簡素、単純きわまるものである。すなわち、大広間にも備え付けの椅子、 机、書棚などの備品が一つもない

②日本の農業

*日本の農業レベルの高さに驚 いている。すなわち日本の農業は完璧に近い。その高いレベルの農業から推察するに、この国の面積は非常に莫大な人口を収容することができる

*水田稲作は大昔からの日本人の生活の基盤となり、個人や家族の単位を超えた共同の生活と作業を通じて、「和」や「公」の精神、さらには「勤勉」を子孫に伝えてきた日の伝統であったことが偲ばれる。

<日本人評―長崎海軍伝習所の日々>

日本人のまじめさに敬意を示しつつ驚嘆している

①働きぶり

生徒は、皆々名家の子弟であるにかかわらず、常に賎しい水夫のごとく立ち働き、また船室は全部これをオランダ士官に提供するはもちろん、すべての点において教官に対し礼儀を失わなかった

②オランダ語習得の意欲

我々はこれらの人々と同船して、実に愉快な日を送った。皆々快活で日本語とオランダ語のチャンポンで、面白い会話を交わしたりなどした。一部の者はオランダ語を非常によく解し、練習のためお互い同士、オランダ語だけで話していた。

③航海術習得の意欲 如何に日本人が航海術に熟達したがっているかを知って驚いた。ヨーロッパでは王侯は、海軍士官となり、艦上生活の自由を忍ぶということは、決して珍しいことではないが、日本人の一部の元祖は江戸において重い役割を演じていたような家柄の人が、一介の火夫、鍛冶工および機関部員として働くごときは、当人の勝れたる品性と、絶大なる熱心さを物語っている

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