第１４回 日本人のすばらしさの続きとして、ロシア軍人のゴロヴニンの賞賛をお伝えします
＊江戸末期に襲来したロシア人：ヴアーシリーゴロヴニン
（出典:『日本幽囚記』ゴロヴニン著、井上満訳、岩波文庫
1811年（文化8年）ロシア帝国の海軍軍人として千島列島の測量に向かった際、幕府の捕虜となり函館と松前に二年余に渡って幽閉され、後に「ゴロヴニン（以後、ゴローニンと称する）」事件と呼ばれる。1816年、帰国後に『日本幽囚記』として日本での幽閉生活をまとめて出版した。この本はヨーロッパ各国に翻訳され、日本でも1825年に訳本が出版されている。
ゴローニン事件が起こった経緯と経過は、次のようである。
①＜ゴローニン事件が起こる前＞
1804年、レザノフが通商を求めて日本にやってきたが、日本に通商交渉を拒絶した。すると1807年、択捉島や樺太を攻撃したので、日本はロシアのことを強く警戒するようになった。
②＜ゴローニンの捕縛、監禁＞
千島列島の測量をするために航海をしていたが、水や食糧を補給するため、国後島に着港した。警備兵によって捕まり、箱館・松前に監禁されてしまいました。レザノフの来週によって日本はロシアのことを超警戒していた矢先であった。
③＜副艦長リコルド、高田屋嘉兵衛の謝罪文＞
副艦長のリコルドは、国後島付近を航海中の高田屋嘉兵衛の船を拿捕し、ゴローニンの返還を求めるため高田屋嘉兵衛のアドバイスを受け、幕府に謝罪の文書を提出した。これでリコルドは一度帰国し、さらに1813年9月、謝罪文書を江戸幕府に再提出した。これによってゴローニンは釈放され、10月にはロシアへと帰ることができた。
④＜日露の関係は改善＞
ゴローニンの件の平和的解決により、レザノフの件のため最悪となっていたロシアとの関係は、和らぐとともに解決し、さらに、ロシアに蝦夷地侵略の意図がないことがわかり、ロシアへの警戒も大いに和らぐこととなった。
＜日本人評＞
ゴロヴニンは、幽閉中に係らず日本人を正確に観察し、日本人を「世界で最も聡明な民族」、「勤勉で万事に長けた国民」であると好意的に評価し、それまでの野蛮な国民：｢クリスチャンへ理不尽な迫害をもたらす｣であるというヨーロッパの認識を一変させ開化の必要は少しもないと述べている。具体的には次のように評している
①日本の国民教育
＊日本人は天下を通じて他国民と比較すれば最も教育の進んだ 国民である。
＊読み書きの出来ない人間や、祖国の法律を知らない人間は 一人もいない。
＊日本人は自分の子弟を立派に教育する能力を持っている。ごく幼い頃から読み書き、法制、国史、地理などを教え、大きくなると武術を教える。
＊一番等大切な点は、日本人が幼年時代から子弟に忍耐、質素、礼儀を極めて巧みに教えこむことである
②農漁業、工業
＊農業、漁業、狩猟、 絹および綿布の製造、園芸、陶磁器および漆器の製作、金属の研磨は、殆んどヨーロッパ人に劣らない。
＊鉱物の精錬もよく承知して居り、いろいろな金属製品を非常に巧妙に作っている。
＊指物およびろくろ業は日本では完成の域に達している。
＊あらゆる家庭用品の製造が巧妙である。だから庶民にとつてはこれ以上、開化の必要は少しもないのである。
＊階級を通じて、対応が極めて丁重で ある。この国民の本当の教養を示すものとして日本人同志の礼儀正しさは驚嘆すべきである。
＊日本人は自分の子弟を立派に教育する能力を持っている。ごく幼い頃から読み書き、法制、国史、地理などを教へ、大きくなると武術を教える。しかし一等大切な点は、日本人が幼年時代から子弟に忍耐、質素、礼儀を極めて巧みに教えこむことである
③日本人の欠点
＊日本人にも欠点がある。復讐心が強いこと。
＊女性の人権は皆無に等しい。愛人制はもはや当たり前で何よりも売春が日常茶飯事になっている。これは日本人最大の恥辱である。
プライバシーポリシー
個人情報の利用目的
当ブログでは、お問い合わせや記事へのコメントの際、名前やメールアドレス等の個人情報を入力いただく場合がございます。取得した個人情報は、お問い合わせに対する回答や必要な情報を電子メールなどでご連絡する場合に利用させていただくものであり、これらの目的以外では利用しません。
広告について
当ブログでは、第三者配信の広告サービスを利用しており、ユーザーの興味に応じた商品やサービスを表示するため、クッキー（Cookie）を使用しております。同じ広告を何度も表示しないようにしたり、クリック詐欺を検出して停止したり、より関連性が高いと考えられる広告（ユーザーがアクセスしたウェブサイトに基づく広告など）を表示したりするためなどに使用することがあります。
お問い合わせフォーム
コメント