第13回 日本人のすばらしさの続きとして明治初期の有名なイザベラバードをお伝えします
日本人のすばらしさー3(明治初期 イザベラバード)
辛辣なイザベラバード
出典『日本奥地紀行)』平凡社
イザベラバードについては、日本人について紹介してくれた人として有名でどちらかというと好意的に受け止めておられる人が多いと思いますが、かなり現実的な表現で日本人を蔑視しているのでびっくりします。それでも、日本人について本質的に立派な人間性を有した民族であることは見抜いております。ここでは、少し細かい実話を交えて記します
1831年10月15日、イギリス・ヨークシャーで生まれ、1854年から1901年まで地球のほとんどを旅した。というのは、子供の時に手術も経験するほど病弱であり、医者から転地療養を進められていたからである。日本には1878年に初来日し、7カ月間滞在した。
私信を妹に送ったとされている日本滞在記は、実は、本国の密命「キリスト教普及とその可能性を探る」を帯びて書き記した報告書であった。英国公使としての立場から企画立案したパークスの依頼に真剣に使命感に燃えて完遂した。800ページを超える日本滞在記は、 “Unbeaten Tracks in Japan”「日本における人跡未踏の道」は2巻あり、有名な「北日本旅行記」と「関西方面の記録」である。
北日本旅行記では、明治初期の日本人ですら歩いてない日本の僻地まで行き、探索したのである。
すなわち、1878年(明治11年)6月から9月にかけ通訳兼従者を一人だけ連れて、東京→日光→新潟→日本海側→北海道と永遠と旅した。
イザベラバードの記述を全て紹介するには紙面が足りないが、世界を旅行した鋭い観察力でもって、当時の日本の見事な秘境の風景や貧しい生活様式、出来事などを記しておりびっくりさせられる。
日本人について、辛辣に表現した部分も数多いが、人間性について感動した部分も数多い。本の一部であるが紹介する。
<風景の見事さ>
奥日光:中禅寺湖、男体山、華厳の滝、龍頭滝、戦場ヶ原、湯滝、湯本湖を彩る梅雨時の豊かな水と日光に育まれた植生、コケ、シダ、木々の深緑と鮮やかに咲く花々を賛している。
「鍬で耕したというより鉛筆で描いたように美しい」と米沢平野の光景をと称している。
赤湯温泉(山形県南陽市)の湯治風景に感嘆し、置賜地方を「エデンの園」、「東洋のアルカディア」と評した
<辛辣に表現した部分>
①日本人は、凹んだ胸部、がにまた足でみじめな体格をしており西洋の服装はどの服も合わない。
国民的欠陥をいっそうひどくさせるだけである
②日本人の姿を見て感じるのは堕落しているという印象である。というのは、黄色い皮膚、うな固い髪、弱弱しい瞼、細長い眼、尻下がりの眉毛、平べったい鼻、蒙古系の頬が出た顔形、ちっぽけな体格、よろよろした歩きつき
③アイヌ人は、未開人のなかで特に最もどうもうで荒々しく見え、ある集落については、不潔の極みである。
④彼らの生活は誠実でもなければ清純でもない、基本道徳の水準は非常に低いものであると判断せざるをえない
<日本人の人間性>
彼らはお互いに親切であり、礼儀正しい。それ は見ていてもたいへん気持ちがよいと日本人を絶賛している。
①奥地を1200マイルに渡って旅をしたが、まったく安全でしかも心配もなかった。世界中で日本ほど婦人が危険にも無作法な目にもあわず、まったく安全に旅行できる国はないと信じている
一度も失礼な目にあったこともなければ、真に過当な料金をとられた例もない。群衆にとり囲まれても、失礼なことをされることはない。ヨーロッパの多くの国々や、わがイギリスでも地方によっては、外国の服装をした女性の一人旅は、実際の危害を受けるまではゆかなくとも、無礼や 侮辱の仕打ちにあったり、お金をゆすりとられるのである
②彼らは礼儀正しく、やさしくて勤勉で、ひどい罪悪を犯すようなことは全くない。
③ある秘境の町でひどい恰好をした女の酔っ払いに出会ったとき、水をごちそうになったので
お金を渡すと、どうしても受け取らなかった。お水はただとのこと。日本人の潔癖性を示している。
④これほど自分の子供達をかわいがる人々を見た事はありません。だっこやおんぶをしたり、手をつないで歩いたり、ゲームをやっているのを眺めたり、いっしょにやったり、しょっちゅうおもちゃを与えたり、遠足やお祭りに連れていったり、子供がいなくては気がすまず、また他人の子供に対してもそれ相応にかわいがり世話を焼きます。
⑤私は日本の子どもたちがとても好きだ。私は今まで赤ん坊の泣くのを聞いたことがなく、子どもがうるさかったり、言うことをきかなかったりするのを見たことがない。
⑥日本では孝行が何ものにも 優先する美徳である。何も文句を言わずに従うことが何世紀にもわたる習慣となっている。英国の母親たちが、子どもを脅したり、手練手管を使って騙したりして、いやいやながら服従させるような光景は、日本には見られない。
⑦私は、子どもたちが自分たちだけで面白く遊べるように、うまく仕込まれているのに感心する。家庭教育の一つは、いろいろな遊戯の規則を覚えることである。規則は絶対であり、疑問が出たときには、口論して遊戯を中止するのではなく、年長の子の命令で問題を解決する。子どもたちは自分たちだけで遊び、いつも大人の手を借りるようなことはない。
彼らはお互いに親切であり、礼儀正しい。それ は見ていてもたいへん気持ちがよいと日本人を絶賛 している。 <辛辣に表現した箇所>と<人間性の箇所>とギャップが大きいが、要は、日本人は見かけが悪い(これは白人の黄色人種に対する差別意識)が西洋以上のその人間性の素晴らしさに驚愕しているのが本当のところでしょうか。
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